Webアクセシビリティの基礎知識|誰もが使いやすいWebサイトを作るために

Webアクセシビリティとは、年齢・障害・利用環境などに関わらず、すべての人がWebサイトの情報や機能を利用できる状態を確保する考え方です。
近年は法的・社会的な要請も高まり、Web制作において欠かせない基礎知識の一つとなっています。
本記事では、Webアクセシビリティの基本的な考え方から、制作現場で押さえておきたい具体的なポイントまでを、基礎から丁寧に整理します。
Contents
Webアクセシビリティとは何か
Webアクセシビリティの定義
Webアクセシビリティとは、視覚・聴覚・身体機能・認知特性などに多様性がある利用者でも、
情報の取得・操作・理解ができるWebサイトを設計・実装することを指します。
これは特定の人のための配慮ではなく、
結果としてすべての利用者にとって使いやすいWeb体験につながります。
アクセシビリティとユーザビリティの違い
混同されやすい概念として「ユーザビリティ」があります。
- アクセシビリティ:利用できるかどうか(入口の確保)
- ユーザビリティ:使いやすいかどうか(操作の快適さ)
アクセシビリティは、ユーザビリティの前提条件とも言えます。
なぜWebアクセシビリティが重要なのか
利用者の多様性に対応するため
Webの利用者には、次のような多様な状況があります。
- 視覚に制限がありスクリーンリーダーを使用している
- マウス操作が難しくキーボード操作が中心
- 明るい屋外や小さな画面で閲覧している
- 一時的な怪我や疲労により操作が制限されている
アクセシビリティ対応は、こうした幅広い利用状況を自然にカバーします。
検索エンジンや品質評価への影響
適切なHTML構造、代替テキスト、明確な見出し構造は、
検索エンジンにとっても情報を理解しやすくなります。
そのため、アクセシビリティ対応はSEOや品質評価の向上にも寄与します。
Webアクセシビリティの代表的なガイドライン
WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)
Webアクセシビリティの国際的な基準として、WCAGが広く参照されています。
WCAGでは、次の4原則が示されています。
- 知覚可能:情報を認識できる
- 操作可能:操作できる
- 理解可能:内容や操作が理解できる
- 堅牢:支援技術でも正しく解釈できる
この考え方は、実装時の判断基準として非常に有効です。
制作時に押さえておきたい基本ポイント
見出し構造を正しく使う
見出しタグ(h1〜h6)は、見た目ではなく情報構造を表すための要素です。
- 見出しレベルは順序を守る
- レイアウト目的で見出しタグを使わない
- セクションの区切りが論理的に伝わるようにする
見出し構造については、HTMLの基本構造を解説した記事とあわせて確認すると理解が深まります。
画像には代替テキスト(alt)を設定する
画像が表示されない場合や、スクリーンリーダー利用時には、alt属性が重要な役割を果たします。
- 情報を伝える画像:内容を簡潔に説明する
- 装飾目的の画像:空のalt属性を指定する
これは、SEOとアクセシビリティの両面で基本となるポイントです。
キーボード操作を前提に考える
すべての操作がマウスで行える場合でも、
キーボード操作のみで完結できるかを確認することが重要です。
- フォーカスが移動できるか
- フォーカス位置が視認できるか
- 操作不能な要素が存在しないか
フォームやナビゲーションの実装では特に注意が必要です。
色やコントラストに配慮する
文字色と背景色のコントラストが低いと、情報が認識しづらくなります。
- 色だけで情報を伝えない
- コントラスト比を意識する
- 小さな文字サイズとの組み合わせに注意する
デザインと実装の両方で意識したい項目です。
アクセシビリティは「特別な対応」ではない
Webアクセシビリティは、追加コストや特殊対応ではなく、
正しいHTMLと基本的な設計思想の積み重ねで実現できます。
構造を意識したマークアップや、意味を持った要素選択については、
セマンティックHTMLの解説記事も参考になります。
まとめ
Webアクセシビリティは、すべての人にとって使いやすいWebを実現するための基本です。
- 利用者の多様性を前提に設計する
- 正しいHTML構造を意識する
- 視覚・操作・理解のしやすさを確保する
これらを意識することで、品質の高いWebサイトにつながります。
まずは「基礎を正しく守る」ことから、アクセシビリティ対応を始めることが重要です。
次に読むと理解が深まる関連記事
Webアクセシビリティの基礎を理解したあとは、
実装レベルでの理解を深めることが重要です。
- セマンティックHTMLの考え方
→ 要素の意味を正しく使うことで、アクセシビリティの土台が整います。 - 見出しタグやsection要素の正しい使い分け
→ 情報構造を正しく伝えることで、支援技術にも理解しやすくなります。 - フォームのアクセシビリティ対応
→ 入力補助やエラーメッセージの設計は、離脱防止にも直結します。

